スプレッドシート(Excel) データ分析
情報この章の要点
集計が「何が起きたか」を数える作業なら、分析は「なぜ起きたか・次にどうするか」を読む作業です。AIで下がったのは後者のハードル。ただし主役はAIではなく、あなたの「問い」です。
「集計」で止まらない。数字を「次の一手」に変える
基本で扱ったのは、表を整えて集計するまで——「何が起きたか」を正確に数える段階でした。この章はその先、数字から「なぜ起きたか」「次にどうするか」を読む段階を扱います。
これまで分析は、Excelが得意な担当者や外部の専門家の仕事でした。AIで変わったのは、表を渡して業務の言葉で聞けば、集計・グラフ化・仮説出しまで一気に返ってくることです。統計の知識やピボットテーブルの操作は、もう入口の壁ではありません。
壁が消えた分、差がつくのは「何を聞くか」です。
進め方は4ステップ
- 問いから始める:データを眺めてから考えるのではなく、先に「この数字で何を判断したいのか」を1行にします。「売上が下がった理由を知りたい」ではまだ広く、「どの商品・どの顧客層の落ち込みが主因かを特定して、来月の打ち手を決めたい」まで絞れると、AIの返しが一段具体的になります。
- 渡す前に、整えて・守る:表の状態が悪いと分析も濁ります(表記ゆれ・結合セルの点検は基本の型のまま)。加えて分析では、顧客リストや売上明細といった機微なデータを扱いがちです。社名・氏名は「A社」「Bさん」のような記号に置き換えてから渡してください。入れてよい情報の線引きはAIセキュリティの基本を参照。
- AIに仮説を出させ、人間が検証する:「傾向を教えて」ではなく、仮説と根拠をセットで出させるのがコツです。AIの仮説は言い切りに見えても仮説です。気になるものが出たら、元データをフィルタして自分の目で数字を確かめてから採用します。
- 意思決定の一文に落とす:分析の完成形はグラフではなく、「だから、こうする」という一文です。「◯◯が落ちている」で終わらせず、「◯◯が主因だから、来月は△△に絞る」まで書けたら、報告書やスライド(基本・基本)に落として共有します。
実践|最初の一歩
例コピペで試す:売上データの仮説出し
「添付の売上データを分析してください。①前年同月比で変化が大きい項目の上位3つ、②それぞれの変化の理由として考えられる仮説を2つずつ、③その仮説を確かめるために追加で見るべきデータ、を出してください。断定せず、根拠にした数字を必ず添えてください。」
ポイントは最後の「断定せず、根拠の数字を添えて」です。この一言がないと、AIはもっともらしい結論を言い切ってきます。
実例|私の場合:自分のサイトのアクセスデータ
私は、この学習サイト自身のアクセスデータ(Google GA4・Search Console・Microsoft Clarity)をAIに分析させています。あるとき出てきた事実は、「検索経由の流入はごくわずかで、訪問の8割以上が直接アクセス」——検索で見つけた人ではなく、面談や発表で知った人が読みに来ている、ということでした。
この一つの事実で、打ち手の順番が変わりました。検索対策に時間を使うのは後回しにして、面談や発表で直接お渡しする導線を優先する。数字を見る前は逆の配分で考えていたので、思い込みが一つ剥がれたことになります。
なお、同じ分析を繰り返すのが面倒になったので、いまはこの取得と分析を毎朝AIが自動で回しています。「同じ依頼を3回したら自動化の合図」——基本の型は、分析でも同じです(自動化の入り口はアプリの領域へ)。
全体の心構え
- 検算の鉄則は、分析でも変わらない
- 意思決定に使う数字は、別の切り口で一度は検算する(基本)。分析はその集計の上に載る仮説なので、土台の数字が違えば全部が崩れます。
- AIの仮説を、結論として扱わない
- もっともらしい説明ほど疑ってください。仮説→自分の目で裏取り→採用、の順番を崩さないことが、分析をAIに任せるときの最大の防御線です。
- 顧客データは記号化してから渡す
- 分析は機微なデータに触れる作業です。渡す前の匿名化を習慣にしてください。