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Google WorkspaceのAI管理者設定

情報この手順でできるようになること

Google Workspaceの管理者が、社内にAIを広げる前後でやっておく設定です。 管理コンソールを操作できる権限(特権管理者など)が必要です。

GeminiやWorkspace Studioを部署ごとに出し分ける方法、社員が作ったものを勝手に配れないようにする方法、問題が起きたときの止め方までをまとめています。

大前提:AIが読めるのは、その人が元々読めるものだけ

GeminiもWorkspace Studioのフローも、使っている本人の権限で動きます。その人がDriveで開けないファイルは、AI経由でも開けません。

裏を返すと、AI側の設定をいくら締めても、元のファイルが全員に共有されていれば意味がありません。中小企業のDriveは「とりあえず全員に共有」で積み上がっていることが多く、AIを入れるとその状態が一気に表に出ます。検索一発で給与ファイルが出てくる、というのはAI以前の問題です。

順番は、共有ドライブの整理が先、AIの設定が後です。逆にすると穴が残ります。

設定はどの単位で効くか

Workspaceの設定は4つの単位で適用できます。ここで一番間違えやすいのは、優先順位が見た目の階層どおりではないことです。

  • ドメイン全体:全員に適用される既定値
  • 組織部門(OU):部署に対応させることが多い区分
  • グループ:組織部門をまたいで指定できる集まり
  • ユーザー個人:一部の設定のみ

注意⚠️ グループの設定は、組織部門の設定を上書きします

「営業部(組織部門)ではオフ」にしていても、その人がオンになっているグループに入っていればオンになります。部署ごとに出し分けるときは、組織部門とグループのどちらを基準にするかを先に決めて、混ぜないでください。両方で設定すると、後から原因を追うのが非常に大変になります。

20名くらいまでの規模なら、組織部門は「全社」と「機微な情報を扱う部署(経理・人事)」の2つで足ります。最初から細かく分けると、運用の手間のほうが大きくなります。

設定する場所は5つに分かれている

「AIの設定」は1箇所にまとまっていません。目的ごとに触る場所が違い、名前もよく似ているので混同しやすいところです。

目的 管理コンソールの場所 決められること
元データの範囲 共有ドライブ・共有設定 AIが触れる範囲の上限そのもの。ここが実質的な本丸
AIが読むデータ 「生成AI」→「Gemini アプリ」 Geminiアプリを使えるようにするか、Googleアプリ(Gmail・ドライブ・カレンダー等)のデータを読ませるか、Gemの共有可否、会話履歴、公開リンクでの共有可否
アプリ内のGemini 「生成AI」→「Gemini for Workspace」→「機能へのアクセス」 Gmailやドキュメントの中でGeminiを使えるか(既定オン)。ただしEnterprise Standard・Plus等が必要で、Business Standardでは触れません
自動化 「アプリ」→「Google Workspace」→「Workspace Studio」 フローの共有可否、使えるステップの制限、社外を含むフローの承認、動いているフローの停止
記録 レポート・監査ログ どのフローで誰が何をしたか。ファイルの編集やメール送信まで、フローの識別子と持ち主つきで残ります

順番にやる:設定チェックリスト

順番に意味があります。1と2を飛ばして3から入ると、後でやり直しになります。

1. 共有ドライブを整理する 給与・評価・契約書・取引条件など、社外に出せない情報が全員に共有されていないかを確認し、見られる人を絞ります。AIの設定より先です。

2. 組織部門を2つに分ける 「全社」と「機微な情報を扱う部署」。グループは、役割ごとに必要になったときだけ足します。

3. Geminiに社内データを読ませる範囲を決める 「生成AI」→「Gemini アプリ」→「Googleアプリ」。Geminiアプリ(gemini.google.com やスマホのGeminiアプリ)が、Gmail・ドライブ・カレンダーなどの中身を読めるかどうかのスイッチです。組織部門ごとに切り替えられるので、まず1部署だけで試してから全社に広げる、という進め方ができます。

メモ✏️ 紛らわしい2つの「Gemini」

Geminiアプリは、gemini.google.comやスマホアプリで開く独立したチャット画面のことです。ChatGPTの画面に相当します。一方、Gmailやドキュメントのに出てくるサイドパネルは「Workspaceサービスの Gemini 機能」といい、別の設定として扱われます(「生成AI」→「Gemini for Workspace」→「機能へのアクセス」)。片方をオフにしても、もう片方には影響しません。

ただし後者の設定は Enterprise Standard・Plus などが必要で、Business Standardでは触れません(既定でオンのまま)。Business Standardの範囲で管理者が絞れるのは、主に「Geminiアプリ側」だと考えてください。

4. Gemの共有をオフにする 「生成AI」→「Gemini アプリ」→ Gemの共有。既定では共有できる状態です。 ここをオフにすると、社員が自分用のGemを作るのは自由なまま、勝手に配ることだけを止められます。「作るのは自由、配るのは管理」という形にできる、数少ない設定です。

5. Workspace Studioのフローの共有をオフにする フローをリンクで共有すると、相手には作った人の設定ごとコピーが渡ります(詳しくは下記のつまずきポイント)。

6. 社外の人を含むフローに、承認を必須にする 社外へのファイル追加やメッセージ送信を含む処理を、実行前に承認待ちにできます。

7. 使えるステップを部署ごとに絞る フロー単位ではなく、フローの部品(ステップ・スターター)の側で制限をかけられます。部署による出し分けは、ここで効かせるのが確実です。

8. 監査ログを見る習慣をつける 月に一度でかまいません。見ない記録は、無いのと同じです。

問題が起きたときの止め方

管理画面から、動いているフローを止められます。全部を一度に止めるだけでなく、特定のフローからDriveへのアクセスだけを取り上げる、といった細かい対処もできます。全停止せずに済む唯一の手段なので、場所だけでも先に確認しておくと安心です。

プランによる制約

契約しているエディションによって、使える統制機能が変わります。

機能 Business Standard 備考
Gemini(Gmail・Docs・Meet等) 使える 2025年1月以降、追加費用なしで含まれます
Workspace Studio 使える Business Starter・Standard・Plus、Enterprise版・Education版が対象
アプリ内のGemini機能を部署ごとに切る 使えない 「機能へのアクセス」はEnterprise Standard・Plus等が必要。Gmailやドキュメント内のGeminiは既定オンのままになります
内容に応じたアクセス制限(DLP) 使えない Enterprise Standard・Plus限定。共有ドライブの権限そのもので守ることになります
管理者からGemを配る機能 無い Google側にこの機能が用意されていません(下記参照)

⚠️ つまずきやすいポイント

  • フローを共有すると「コピー」が渡る:リンクで共有すると、相手には作った人の設定ごとコピーが渡ります。入力していた文章、メールアドレス、Driveファイルへのリンクも一緒です。意図せず情報が渡る経路になるので、共有は必要なものだけに絞ってください
  • 管理者がGemを社員に配る機能はない:Gemの共有はオン/オフを切り替えられるだけで、「管理者が作ったGemを全社に配信する」という仕組みは用意されていません。共有したGemはDriveに保存され、Driveの共有設定がそのまま適用されるので、配る場合は共有ドライブの権限で管理することになります
  • 業務の中心をGemに置かない:Gemには廃止の観測が出ています(2026年9月時点でGoogleの公式発表ではなく、確定情報ではありません)。後継とされる機能は個人アカウント向けで、職場アカウントでは使えない見込みです。業務の中身はGemに閉じ込めず、手順書やファイルの形で手元に残しておくと、仕様変更に振り回されずに済みます
  • Chatの画面からGemは使えなくなった:2026年8月26日の変更で、Chat内のGeminiサイドパネルが廃止されました。Gemは他のWorkspaceアプリのサイドパネルでは引き続き使えます
  • 禁止だけでは守れない:設定を厳しくしても、社員が個人のスマートフォンでAIを使うことは止められません。会社が用意した経路が使いにくければ、そちらへ流れるだけです。「公式の道を、個人で使うより便利にする」ことが、結果として一番効く統制になります。締めることと使いやすくすることは、セットで考えてください